ヨガでまず最初に学ぶこと
世界中で根強い人気のヨガ、ヨガスクールに入ると最初に学ぶことはヨガのポーズではないですよね。
なぜヨガをするのか、その背景でもっとも大切にされていることは、「ヨガ・スートラ」という哲学である考え方です。
その考え方が整わないと、ポーズだけ覚えても全く意味がないのです。
難しいポーズが出来るようになることがヨガの最終目的とは全く違うからです。
8つの教えの一番最初に学ぶ5つの心得
その中でも必ず理解し腑に落とすことが必要な、8つの教えがあります。
更にその中でも一番最初に学ぶ5つの心得があります。
それは、正しく生きるための日常生活の中での心得になります。
正しくって聞くと、とっても硬くて、知らなくてもいいやとなりそうなんですが、私たちは一人では生きていけません。
互いに快適に過ごすためには、また自分自身が快適に過ごせるためにもとっても大事なルールであることを知ることができます。
日常の中で行ってはいけない5つの心得「ヤーマ」
5つの心得「ヤーマ」Yamaについて順に説明していきます。
①アヒムサー(Ahimusa)非暴力
行動、言葉、思考のレベルで暴力をふるってはいけない、苦痛を引き起こさない。誰に対しても怒りを抱かないことという意味になります。
暴力と聞くと、他人に対する肉体的、精神的なものを思い浮かべますが、自分に対して暴力をふるわないという意味にもなります。
体に痛みや不調があるのに無理してマスクをし続けたり、落ち込んだ時に自分に対して否定的な言葉をかけることも、自分に対する暴力といえるのです。
自分に対する暴力は無意識にしてしまい、そして体も心も疲労・疲弊してしまうことになり、しかも周りには気がついてもらわれにくかったりで、かなり厄介です。
だからこそ、自分で気がついて欲しいのです。
自分を大切にすること、このことがヨガ・スートラの教えの最初にくる大切なことで、私はヨガを学び始めたときに、ここに学びにこれて良かったと心底思い、感銘を受けたのです。インドへ行くことになり、ヨガスクールへ通うことになった時に、私はこのためにここに来たのだと思わざるをえませんでした。
そして、今、体が元気になるために大切なことを人に伝えたい、そう思ったことの一つも、この「自分のことをもっと大切にして!」「もう無理しないで!」ということなんですよね。
②サティヤ(Satya)正直、誠実
嘘をつかないこと。思ったことを正直に伝える。思っていないことを口にしない。
自分が知っていることや経験したことを伝える。確信がもてないことについては口に出さないなど。
自分の利益を守るために嘘をついてはいけない。
誰でも何気ない会話でこのサティヤに反したことをしてしまいがちになります。一旦深呼吸してから伝えることが大切ともいわれています。
心掛けているつもりだけど、情報源によっては、その情報源の会社の利益のことを考えた作られた情報であることがよくあります。
恐怖に陥れたり、不安を煽ることで、売りたいものを買ってくれたらその恐怖や不安から開放されますよという情報もあります。
そのことで、体調を崩す原因を知らずに利用し続けている人がいること、以前の私もそうであったからこそ、そうなってしまう人を救いたいという思いがあります。
③アスティヤ(Asteya)不盗
他人の物、時間、信頼、権利、利益などを盗んではいけない。自分本位な行動は避けた方が良いとする教え。
約束の時間に遅れたり、相手の話をちゃんと聞かずにさえぎって喋り出したりすると、相手の話をする機会を奪ったことになりますよということなんです。
公害として「香害」のこともこれにあたると強く感じています。
カナダのハリファックスという所では2000年に「香水禁止条例」というのが制定されたそうです。
カナダでは昔から、公の場、学校・図書館・裁判所・職場・劇場・店舗などでは「他人の吸う空気を汚染してはならない」という考え方が浸透しているのだそうです。香水も禁止です。
アメリカ、カナダでは州により公共機関ではフレグランス・フリー、匂いがない状態でないと入れないところが段々増えてきているそうです。
空気汚染に敏感な、喘息やそのほかの肺疾患を患う人が増えつつあるということが関係しているそうです。
その香りを他の人が吸い込むことで、頭痛や吐き気、不快感などの体への影響を与えてしまい、ひどくなると仕事や買い物に行けないなどの権利を奪ってしまうことも起きてきているのです。この症状を化学物質過敏症といいます。詳細は後で説明します。
また、例え無香料であったとしても、揮発性の脱臭剤などでも影響を与えてしまうのです。
私や子供が、無香料の、1回スプレーするだけで何時間も効果が持続する虫除けで、目が痒くなり、それが我慢できない子供たちは目を掻きむしってしまっているのをみた時に、その化学物質の怖さを凄く感じました。
マンションに住んでいて、窓を開けていると、否応なしに、隣近所から入ってくる柔軟剤や抗菌スプレーや殺虫スプレー、タバコなどで吐き気や頭痛が引き起こされてしまう人が意外と沢山いることを知って欲しいと思ってしまいます。
アスティヤ、盗んではいけない!このことの本当の意味を知って欲しいと思います。
これを守れたら、どれだけの人が救われるのでしょうか。
④ブラフマチャリヤ(Brahmacharya)禁欲
エネルギーの無駄遣いを避けることです。
食べ過ぎ、寝過ぎ、働きすぎ、頑張りすぎなどの欲を過剰に出すと後で苦しくなる原因になってしまいます。そうならないようにちょうど良い所で留まることをことを知り、自分でコントロールすることが大切になります。
エネルギーが必要なところに集中させることが禁欲の本質といわれています。
食べたいのに我慢しすぎるのは良くないと思います。だから、食べたい時には、安い、あまり美味しくないけどヘルシーそうなのを選ぶのではなく、その時には、本当に美味しい!と満足できる、ヘルシーとか関係なく心も体も全身で美味しいと喜びを感じられるものを食べるように心掛けています。
また、「これが健康にいい」とどこかで得てきた情報を頼りに、ひたすらそれに頼り、食べ続けることは決して良いことではないということです。
食はどんなに良いといわれているものでも、摂り過ぎれば健康を害してしまうことがあります。
あるものに偏ることで他の物が摂れなくなる、そのことで多様性が無くなることで偏りが生じ、健康を害することもあります。
そうならないようにちょうど良いところ、ほどほどが大切なのです。
⑤アパリグラハ(Aparigraha)不貪
貪らないこと。
必要ないものは受け取らない、何かを過剰に所有しないということです。
新型コロナウイルスの感染拡大が始まった頃のマスクやトイレットペーパーの買い溜めはとても分かりやすい例ではないでしょうか。
本来自分が必要とする分以上に物を所有する行動はこのアパリグラハに反するということです。本当に必要としている人に届かなければ、その人たちの「所有する機会」を奪う、つまり③のアスティヤに反することになります。
過剰に所有することで、執着が出て、それを失うことへの恐れと怒りと嫉妬などを生んでしまう。
不貪を実践していくと、自らに満足感をもたらし、寛大になり、他者に与えることにつながるというのです。
不安や恐れが強いとなかなかこの境地には至らないですよね。
でもその不安や恐れはどこからくるもの?誰に与えられたものなの?そこに気がついて欲しいのです。本当に感じなければいけない不安や恐れなのだろうか?ということです。
メディアや企業が売りたいものがあり、そのために作り上げた意図、演出に踊らされてしまっているだけということもあるのです。
日本では特に一方的な方だけの情報が溢れています。そして、本当はその効果があまりないにもかかわらず、イメージ戦略にのせられて、お買い物をしている方がとっても多いことを感じています。
物事には色んな捉え方があること、その当たり前のことに気がついて、一方的な情報に振り回されずに多面的な捉え方ができるようになると、不安や恐れに煽られることが無くなる。
そのことによるストレスがなくなり、正しい選択ができるようになり、みんな健康に過ごせようになると思うのです。
ヨガとは
ヨガ・スートラの教えは勿論これだけではありません。
私たちが健康で過ごすために必要な教えが沢山詰まっています。
そして、人間関係、家族関係にも良いことが沢山詰まっています。
このスートラの教えが最も重要視されていることが、世界中の沢山の人に愛され続けている理由なのです。
この教えを知ることで、沢山の方が幸せになり、健康になり、そして自分だけでなく他の人にもこの幸せや健康的な環境を与えることができるようになるのですよね。
インドへ行き、そこで知り合った仲間とヨガスクールに通うことができたことを本当に心から感謝しています。尊敬できる多くの師に出会え、学べたことにも感謝しています。
ヨガの伝え方としては、通常のインストラクターの仕方とは違いますが、その教えは何にでも通じること、その大切さ、重要性を今改めて感じています。
ありがとうございます。
化学物質過敏症とは
家庭用品や化粧品などに含まれる様々な種類の極めて微量な化学物質に反応して、健康被害の症状があらわれるとされています。
一度ある程度の化学物質にさらされ反応が出るようになると、それ以降はほんのわずかな量の物質にも過敏に反応するようになるといわれています。
人によって香りの感受性は全く違います。ある香りが良いと思える人もいれば、吐き気や頭痛を引き起こしてしまうくらいに不快に感じる人もいるのです。
先程のように瞼に痒みを感じて掻きむしってしまい、傷つけてしまうことで、視力を落とす、失明に至ることなども起きるくらい深刻なことなのです。
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